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お気に入りの写真を iPhone に詰め込んでいくのはとても楽しい作業ですが、iPhone の空き容量を気にしながらデータを選定する作業は面倒ではありませんか?また、ハードの故障や紛失によるデータの喪失を気にすることはストレスになりませんか?クラウドストレージを使用すれば、そうした煩わしさと心配は無用になります。
Dropbox の登場により、オンラインストレージサービスは急速に普及しました。それまでもデスクトップPCから利用可能なファイル共有サービスは存在しましたが、アップロードが容易でデータの共有・同期機能を備えた Dropbox によって淘汰され、いまでは類似のサービスも多くローンチされています。
オンラインストレージのバックアップを積極的に活用しよう
かつてバックアップといえば CD-ROM やハードディスクにコピーすることが一般的であり、クラウドサービスが普及してからも情報流出の心配などから利用をためらうきらいがありました。しかし、どこからでもアクセス可能であり必要に応じて容量を追加できる利便性、自前のバックアップメディアの故障や紛失の可能性を考慮すると、ストレージサービスを利用しない手はありません。
5 GB 程度であれば無料で利用できることに加えて、オンラインストレージを提供する企業が増えたことで市場競争が進み、利用料が抑えられてきたことも積極的にオンラインストレージを利用する決め手となっています。
サービス名 | 無料ストレージ | 有料プラン 50GB | 有料プラン 100GB | 有料プラン 250GB |
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Box | 10GB~50GB | 10ドル/月 120ドル/年 | ||
Copy | 15GB | 9.99ドル | ||
SugarSync | 0 | 1,050円/月 10,500円/年 | 2,625円/月 26,250円/年 |
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Dropbox | 2~16GB | 9.99ドル/月 99ドル/年 | ||
Apple iCloud | 5GB | 10,000円/年 |
Box
従来から無料プランのユーザーは 10 GBのストレージが使用可能でしたが、米国時間の 2014 年 1 月 15 日から 2 月 15 日までの期間に iPhone アプリケーション( iOS 6 以上対応)をダウンロード・更新した人を対象に、無料で利用できる容量を 50 GBまで増加できるキャンペーンを実施中です。1 ファイルあたり利用可能なサイズは 250 MBまで。
有料プランでは、月 10 ドルで容量を 100GB 、 1 ファイルあたりのサイズを 5 GB まで拡張することが可能です。ビジネス向けプランでは 1 ユーザあたり 15 ドルで容量 1,000 GB、1 ファイルあたりのサイズ 5 GB となります。
Box は数あるオンラインストレージの中でも特にセキュリティを強化したサービスとして知られています。ビジネス向けプランの Box for Business/Enterpriseは、企業向けに特化した機能が実装され、SDK や API を提供するなど、アプリケーションのプラットフォームとしての利用も可能になっています。
Copy
登録開始時には無料で15GBのストレージを利用でき、ユーザーを招待すると一人につき 5 GB の容量を追加で利用可能になります。iPhone だけでなく Mac OS X 、Android、Windows、Linux に対応しており、様々なデバイスから利用することができます。
ユーザーを招待するごとにストレージが増える仕組みは Dropbox と同じですが、先行サービスに比べ利用料金を抑えた価格設定を売り物にしています。250 GB使えるプランが月額 9.99 ドルと Dropbox の半額以下となっているのは魅力( Dropbox は 100 GB 9.99ドル、200 GBプランで 19.99 ドル。いずれも月払いの場合)。
ビジネス向けに複数ユーザのアカウントを作成した場合の Copy、 Dropbox、 Box の価格を HP 上から比較することができます。以下は 100 ユーザの場合の比較で、現時点では Copy では月額 790 ドル、または年額 8,990 ドルと格安であることが分かります。
SugarSync
2011年9月には Gizmodo によって Dropbox やBox、 iCloud を抑えベストクラウドサービスとの評価を受けたこともある、使い勝手には定評のある優秀なストレージサービスです。
これまで無料アカウントも提供されていたのですが、2014年2月8日に終了し完全有料サービスへと移行しすることが発表されました。これまで無料で SugarSync を使用していたユーザにもサービス利用料が課金されるようになるため、有料プランに移行するか他のストレージサービスにファイルを移動しなければなりません。
有償プランは、現時点で 30 GB 525 円、60 GB 787 円、100 GB 1,050 円となっています(いずれも月払いの場合)。
Dropbox
ユーザー数は 2 億人以上と 400 万社の法人、1 日に同期されるファイルは 10 億件以上(2013 年 7 月)とされる、2008 年からサービスを提供しているオンラインストレージサービスの草分け的な存在です。
アカウントを作成すると無料で 2 GB まで利用でき、招待したユーザーが Dropbox に登録すると一人につき 500 MB ずつ利用可能な容量が増えます。無料で利用可能な容量は 16 GB まで。
Apple iCloud
iPhone の iCloud をオンにしておくと、写真や連絡先、カレンダーなどのデータをリアルタイムにオンライン上に保存してくれます。iOS からだけでなく、Windows からも利用可能。動作を確認していないのですが、Android からも一部データを同期するアプリケーションが出ているようです。
無料で 5 GB まで利用可能、追加費用は 10 GB (合計 15 GB) 2,000 円/年、20 GB
今後のオンラインストレージサービス
ユーザー数からは Dropbox がストレージサービスを代表する企業のように思われますが、Apple や Microsoft、Google 、 Amazon といったソフトウェア・Web企業が従来のサービスと連携したオンラインストレージサービスの提供を開始し、独立系の Dropbox を使う理由は薄れてきています。
また Dropbox は個人ユーザー向けのサービスというイメージが強く、エンタープライズ市場でもセキュリティ機能を高めた Box などの後発サービスがシェアを伸ばしているなど、分野ごとに機能を特化させる動きが進むかもしれません。
Box は日本でも三井情報株式会社(MKI)が出資しており、MKIのほか伊藤忠テクノソリューションズとも販売代理店契約を締結するなど販売体制を強化しており、エンタープライズ向けストレージとして国内シェアを拡大していくでしょう。